それでも愛してる

妻との出会いから、今日までを自分目線で綴ったブログです。

もう無理。。。

彼女が帰った数日後。


俺達は相変わらず 朝・昼・夜の電話と数えきれない程のLINEを交わしていた。


そんなある日の夜。


「もうすぐクリスマスだね~。(^w^)」

「このまま電話してて、午前0時になったら、二人でメリクリしよっ!」


「あぁ、そうだな。」

「でも、そんなに遅くまで起きてて大丈夫なん?」


「うん!大丈夫! もう、お布団の中だし。。眠くなったら寝落ちするだけだもん♪」


「今年も色々あったなぁ~。」


「うん! 色々あったね~❗」

「つうか、年越しみたいじゃん。(^人^)」

「まだ、早い つ~の!(笑)」


「でもね。あたし、りくと出会えたから、今年は最高にHAPPYな年だったよ~。

(*^3^)/~☆」


「あぁ、俺も同じ。」


「来年は、一緒に居られるんだもんね♪」

「今から、めっちゃ楽しみにしてるんだよぉ~。」


「んとね。いきなりなんだけど。。」


「ん?どした?」


「もしもね。 ホントに もしもなんだけど。。」

「りく、あたしと別れたとしたら、そのあと どうするの?」


「ん?どうするのって、何が??」


「だから~。すぐ、他の人 探しちゃうのかなって思ってね。。。」


「そんな事はしないなぁ~。」

「俺、そんなに軽い男に見えるか?」


「ううん。まぁ、りくは そ~ゆ~タイプの人じゃないもんね。(^_^;)」

「じゃあ、ずっと一人??」


「ん~。そうだなぁ~。」

「そんな事、考えたこともないけど。。たぶん、お前と別れたら日本を出るだろうな。」


「はっ??どうして?」

「会社は? 辞めちゃうの?」


「あぁ、会社は辞めるさ。」

「前に話したよな。オーロラの話。俺な、フィンランドに移住して、オーロラの下で暮らすさ。」


しばらく無言のあと、彼女のすすり泣く音が携帯から聞こえてきた。


「ん?どうした?」


「どうした?じゃないよ~!なんで日本から居なくなっちゃうの? なんで そんなに遠くに行っちゃうの?? そんな事したら会えなくなっちゃうじゃん! 寂しいとき、りくの声も聞けなくなっちゃうじゃん!」


「あぁ、そうだな。」

「ん?? ちと待って。別れたのに会うつもりでいるんか? つうか、それって ど~ゆ~事なん?」



「もうイイ!!! 」

「そんなの嫌だよぉ~~!」

「あたしと別れたからって、なんで急にパッと あたしの前から消えちゃうの?!」

「追いかけて来てよぉ~!なんで、「やり直そう。」とか言わないの??」



彼女は、泣き声が一段と大きくなり、もう はっきりと聞き取れないほどに泣きじゃくっていた。



「そんなんだったら、もう りくとは無理だから。。。」

「別れよ。。」

「あたしって、その程度の女なんでしょ?追いかける程もないって事だよね。」

「もうイイ。電話 切るから。。」


「あぁ、そうしよう。」

「おやすみ。。」


その夜は、2度と彼女からの着信音が鳴る事は無かった。


12月23日。

街にはクリスマスソングが流れ、華やかなイルミネーションに飾られた夜。


こうして、俺達は別れを迎えた。



クリスマスイブの 10分前の頃の出来事だった。



♪目を閉じれば億千の星 一番光るお前が居る

初めて一途になれたよ。

夜空へ響け愛の歌。。。♪ by 湘南乃風

告白。

冬。


クリスマスも近いこの時期、北の大地も すっかり雪化粧していた。


そして、いよいよ彼女が この街にやって来た。


九州の南端から やって来た彼女の第一声は、

「めっちゃ寒い~❗」だった。


早く会いたいという気持ちがそうさせたのだろう。

俺は、飛行機の到着予定時間より、一時間以上も早く着いてしまっていた。


お互いの写メは、LINEを始めた その日に交換済みだったし、彼女の服装もあらかじめ聞いていたから、すぐに分かるはずだった。


「やっほ~❗」

到着ロビーを うろうろしていた時、ふと後ろから声がした。


その声の主は彼女だった。


「りく。どこ見てたのよ~。 あたし、りくの事 すぐに分かったよ~。」


「ん?そか??」


「だって、りくは豹柄 大好きじゃん。」

「それに、豹柄のファーコート着てる人なんて、りくの他に居ないでしょ?(笑)

しかも、ロングだし。。」


「それね~。めっちゃ目立つから。。」

「『龍が如く』のゲームに出てくる人みたい。(笑)」


「あはは(^○^)。そっか~? でもな、こんなんしか持ってないからなぁ~。」


正直、お互いに全然 緊張の欠片も無かった。

まるで、ずっと前から知っていた様な、懐かしささえ覚えた程だった。


「飯でも食いに行くか。」


「ちょっと待って! めっちゃ煙草吸いたい。」

「だってさ~。1本も吸わずに来たんだよ~。」


「なら、煙草でも吸うか。」


その日は、札幌のホテルに宿泊した。


そして次の日、俺らは富良野へと移動し、彼女は俺の部屋に泊まった。


夕食のあと、彼女が おもむろにスーツケースから何かを取り出した。


「はい、これ❗」


「ん? 小包爆弾か?」


「もぉ~。バ~カ❗ こんな近くで開けられたら、あたしも巻き添えになっちゃうでしょ?!」

「誕生日プレゼント❤」

それから、これも❗

「こっちは、クリスマス・プレゼント❤」


「だって、来週は来れないもん。ホントは来たいけど。。。」

「ねぇ、開けてみて❗」


俺は、ひとつずつラッピングを開けていった。


「おぉ~❗ イイね~❗」

「サキ、ありがとな❗」


豹柄の札入れと、豹柄のキー・ケース。

そして、俺と彼女の名前を彫った豹柄のジッポー。


そして、マドレーヌと、パウンドケーキと、クッキー。


それが、彼女からのプレゼントだった。


「おぉ~❗ こりゃあ美味いなぁ~。」

「羽田で買ってきたん?」


「………。」

「それ、全部 あたしが作ったんですが。。。」


「あっ! そか。(^_^;)」


「大変だったんだからね~❗」

「りくに食べてほしくて、めっちゃ頑張ったんだから。。」


「うんうん。ありがとな❗」


「じゃあ、kissして❗」


「はっ?」


「ここでkissして❗」


「ちょっ! いきなりやなぁ~。」


「だって、したいんだもん。」

「誰も見てないんだから、イイじゃん。」


「ん~。まぁ~な。」


「もぉ~❗ じゃあ、あたしからする❗」


彼女は そう言うと、俺に抱きついてきた。


そして、俺らは そのままベッドに潜り込んだ。


相当 疲れていたんだろう。

彼女は、いつの間にか スヤスヤと眠りについていた。


俺は、その寝顔を しばらく眺めていた。


次の朝。

「なぁ、サキ。」


「ん?」


「結婚しよう。」


「うん❗(^w^)」

「あたしも、りくと結婚したい❗」


「でもな、指輪とか なんも用意しとらんぞ。」


「そんなのイイよ。」

「あたし。 りくからの、その言葉だけで充分だもん。」


俺は、彼女の髪を撫でながら、きつく抱きしめた。


ふと見ると、彼女が泣いていた。


「どしたん?」

「腹でも痛いんか?」


「バ~カ❗」

「違うよ~❗」

「なんかさ~。めっちゃ嬉しくて…。」

「今ね、最高に幸せな気持ちなんだもん。」


「そかそか。」



「ねぇ、りく。」

「こんな あたしで良いの?」

「ホントに あたしで良いの?」


「あぁ~。もちろんや。お前以外に誰がおるんや。」



こうして、初めてあった その日に 俺らは 結婚を誓いあった。

黄昏時。。

俺は空が好きだ。


昔から、嫌な事がある度に空を見ていた気がする。


空と云っても、昼どきの快晴の空は好きじゃない。


俺が好きなのは、夕暮れ時の空と、夜の空。


俺は、独りっ子で兄弟は居ない。

育児放棄されて、あちこちの親戚を転々としていた。


学校も変わる。

友達も変わる。


だから、親友と呼べるダチは、ほんの2、3人。


ガキの頃、唯一のダチを亡くした。


彼女も小さい頃、親友を亡くしている。


「ねぇ、りく。もうすぐだね。」


「おぅ。あのバカたれの命日やな。」


「あたしね。 お線香の代わりに、その子が好きだった煙草に火を点けるんだ。 1本だけ火を点けて供養代わりにしてる。」


「りくは?何かしてるの?」


「いや。俺は特別な事はせんよ。」

「ただな。その日の夕暮れ時には、空を見上げる事にしてる。」


「そっか。」

「あのさ~。その日は、電話もLINEも しなくてイイよ。」

「その日ぐらいは、友達と一緒に居てあげて!」


「ホントに良いのか?」


「うん!年に1度くらい、そういう日があってもイイじゃん。」

「でも、その日だけだよ!」


「でね。 いつか、あたしも一緒に供養しても良い?」


「おぅ! あのバカたれは女好きだから、泣いて喜ぶんやないか?(^w^)」


「あはは(^○^)。 だとイイなぁ~。」

「ブスは嫌いだ❗ とか思われたりして。。(^_^;)」


「アホやなぁ~。俺が好きになった子やぞ! ブスな事あるかい!」

「世界中が ブスやと思うても、俺はお前が好きやから。。」

「それで文句ないやろ?」


「うん!ありがと~❗😆💕✨」



「てか、世界中からブスって言われたら、いくら あたしでも凹むし。。」


「俺はブスは嫌いだ❗」

「だから、お前はブスやない❗」


「そういう事や。」


「うん! なんか あたしニヤニヤしてる(^_^;)」

「今夜は ぐっすり眠れそう。。」


「うんうん。 イビキかきながら、ぐっすり寝な❗」


「あたし、イビキなんか かかないもん❗

(#`皿´)」

「なんか、ムカついてきた。」

「もう寝る❗ おやすみっ❗」


「べぇ~だっ❗」

「りくのバカ❗(`ヘ´)」


そう言って、その夜の電話は ガチャ切りされた。