闇と光。。
あれから数日が経過した。
相変わらず彼女は浮かない顔をしている。
話しかけても上の空。
ただ、ぼんやり遠くを見つめている。
そんな状態が続いたある日。
「なぁ、友達に会いに行ってきな。」
「少しは気分転換になるやろし。。。」
「うん。いいの?」
「あぁ、良いよ。」
「そんな顔して毎日を過ごすのは、サキ自身が一番辛いやろ?」
「うん。ありがと。じゃあ行ってくるね!」
そうして、彼女は友達に会いに行った。
帰ってきて、彼女は ほんの数日間は気分も穏やかに過ごしていたと思う。
そんな穏やかな日も束の間。
すぐに辛そうな表情の彼女に戻っていった。
ある日、俺は思いきって彼女に伝えた。
「なぁ、俺ら終わりにしよっか。」
「もう、俺は要らんやろ。」
「夫婦ってのは、所詮 他人やん。その他人同士が一緒に暮らすんや。俺な、前に言うたよな。【同じ方向を向けなくなったら終いや。】って。。」
「他人だからこそ、向き合おうとせなイカンのやないか? 相手の欠点なんてのは、凄く目につくもんやん。それで、相手の良い所まで消してしまうのは、本当に向き合ってると言えるんか?」
彼女は無言のまま。
しばらくして、
「少し考えさせて‥‥。」
そう言ったきり、彼女は口を閉ざした。
俺は限界に来ていたのかもしれない。
別れを覚悟して、俺は彼女の返事を待つことにした。
闇。
この頃、お互いの心は深い闇に覆われていた。