春の嵐(3)
あれから数日が過ぎた頃。
俺は、彼女が言った言葉の意味を ずっと考えていた。
『りくの事は、すごく大事。 でもね、好きかどうか、今は分からないんだ。』
(大事だけど好きかどうか分からない)
どういう事なんだろう。。。
こんな事を言われたのは生まれて初めてだった。
俺は悩みに悩んだ。
仕事も手につかないほど悩んだ。
そして、ある結論に辿り着いた。
ある日、
「俺、なんでこんなに悩んでるんやろ。」
「普通なら、こんな事言われたら、さっさと別れるよな。。」
そんな事を考えていたら。
「やっぱ、俺は どうしようもなく あいつの事が好きなんやなぁ~。」
と思えてきた。
そして俺が出した結論は、
(さきの事は待とう! 今は分からなくてもイイ。ただ、傍に居て欲しいのなら、傍に居てあげよう。わがままで意地っ張りな あいつを 包んであげられるような‥‥。そんな男になろう!)
そう決めた。
翌日の電話で、俺は こう あいつに伝えた。
「なぁ、さき。俺な、あれから色々考えたんよ。」
「‥‥。うん。。」
「でな、俺、さきの傍に居る事にした。」
「やっぱ、お前の事、めちゃめちゃ好きなんやなぁ~。って。」
「あらためて、そう思ったから。」
「だから、さきは これからも ずっと さきのままで良いから。。」
「俺は、お前の傍に居る❗」
「そう決めた❗」
電話の向こうで、彼女のすすり泣く声がしていた。
「りく。こんな思いさせてゴメンね。」
「あたし、嫌われたと思ってた。 ホントに ごめんなさい。」
「ううん。 そんなん気にせんでもええから。。」
「ほれ、鼻水出てるんやから、鼻チンしてきな!」
「うん。鼻チンしてくる。 ちょっと待っててね。」
そう言って、彼女は電話口を離れた。
「ただいま~❗」
「おかえり❗鼻チンしてきた?」
「うん❗鼻チンして、ついでに オシッコしてきた。(^w^)」
「あはは(^○^)。 それは言わんでも よろし。。」
「あはは(^○^)。だって 言いたかったんだもん。(^人^)」
「ねぇ、明日 お出掛けするんだ~。りくから貰ったサングラス かけてくね♪」
「おぉ~。そかそか。」
「あのデカサンかけると、なんちゃって芸能人みたいになるもんな。」
「うんうん。てか、なんちゃってって何よ~❗(`ヘ´)」
「明日、デカサンかけたトコの写メ送るね❗」
「うん。よろしく❗」
「ほな、そろそろ 寝る時間やぞ。 おやすみ~❗」
「うん❗おやすみ❗また明日ね~❗(^_^)/」
こうして俺らは、また普段と変わらない言葉を交わすようになっていた。
俺は、あいつの傍に居よう。
この先、どうなるかなんて誰にも分からない。
ただ1つ言える事は、
『おれは、あいつが好きだ』という事。
それだけで、少し前に進めそうな気がしていた。